D2Cで自社商品を扱うようになると、遅かれ早かれ中国メーカーとのやりとりが出てきます。
僕自身、何社もの中国メーカーと取引をしてきましたが、最初は「日本のメーカーと同じ感覚」で進めてしまい、あちこちでつまずきました。480個のうち80個が不良で届いたり、決まったはずの条件が急に変わったり、注文しようとしたら「その商品はもう生産終了しました」と言われたり。
ただ、いくつかのポイントを押さえるだけで、こうしたトラブルはかなり減らせますし、むしろ交渉次第で条件を良くしていくこともできます。
この記事では、僕が実際の取引の中で学んだ5つのコツを、実際の数字とあわせてまとめます。
- 中国メーカーとのやりとりで、日本の感覚が通用しないポイント
- 条件交渉で「YES」を引き出すための伝え方
- 生産終了・値上げを言われたときの切り返し方
- 長期的に良い関係を築くためにやっていること
要望は「はっきり」伝える
中国メーカーと取引するうえで、まず前提にしてほしいのが「なんとなく察してもらえることは期待しない」ということです。
日本人同士のやりとりだと、遠回しに言っても意図が伝わることがありますが、それは通用しないと考えたほうがいいでしょう。お願いしたいことがあるなら、はっきり言葉にして伝える。これに尽きます。
日本人は要望を伝えることに遠慮しがちですが、はっきり伝えて問題ありません。気になることやお願いしたいことがあれば、遠慮せずにすべて伝えてください。気に入らないことがある場合も同じです。
不良率17%が、伝えただけでゼロになった話
最初に仕入れた商品は、480個のうち80個が梱包不良でした。不良率にして約17%。さすがにそのまま受け入れられる数字ではなかったので、状態を写真で示したうえで「梱包を改善してほしい」とはっきり伝えました。
倉庫から届いた不良梱包の写真をメーカーに見せて、「改善計画を提出してください」と要望し、話し合いを進めたのです。
すると次の便から梱包の方法が変わり、送り直してもらった分は不良ゼロ。同じメーカー、同じ商品です。変わったのは梱包だけでした。
つまり彼らは「できない」のではなく、言われていないからやっていないだけなんです。言えば変わります。逆に言わなければ、17%の不良を受け取り続けることになっていました。
もちろん、相手にもできること・できないことはあります。それでも、言わなければ何も伝わりません。
中国メーカーとの取引は「交渉の余地があるのが前提」です。提示された条件が最終回答とは限りません。
日本メーカーと同じ商品管理を期待しない
まず誤解のないように書いておくと、「中国メーカーだから品質が悪い」ということはありません。日本の国産メーカーを名乗る企業でも、実際の製造は中国という例はいくらでもあります。
ただし、商品の「管理」については、日本と同じ丁寧さを期待してはいけません。
梱包、配送、不良品のチェック。このあたりは、正直かなり雑なことがあります。
そもそも「外装への感覚」が違う
というより、日本が特別に丁寧だと考えたほうが実態に近いです。日本の感覚だと、配送に使う段ボールまできれいな状態で届けようとしますよね。でも中国に限らず欧米でも、外箱の段ボールは「中身を守るための消耗品」くらいの扱いです。
海外旅行で、空港のスーツケースの扱いを見て驚いた経験がある方もいると思います。
僕がスペインに行ったときに聞いて驚いたのが、車のバンパーの話です。日本ではバンパーも車の大事な一部ですが、スペインでは「バンパーはぶつけるもの」という感覚らしく、駐車のときに他の車にぶつけてもあまり気にしないのだそうです。
外装や梱包に対する感覚が、そもそも違うんですね。
僕も最初に輸入したときは、段ボールも中の化粧箱も結構凹んでいて驚きました。日本メーカーではまず起こらないことですが、これはもう前提として受け入れたほうがいいです。
前提にしたうえで、やっておきたい3つの対策
- 梱包仕様を最初に握っておく
化粧箱がそのまま商品の顔になる商品なら、外箱と化粧箱を分ける・緩衝材を入れてもらうなどを最初に依頼する - 不良品はある程度出る前提で在庫と原価を組む
不良率をゼロと想定した原価計算だと、あとで利益が合わなくなります。僕の初回は17%でした。不良品は交渉で無償交換してもらうこともできます。 - 改善してほしい点は写真を添えて具体的に伝える
1.のとおり、伝えれば改善されることも多いです
ここで大事なのは、さきほどの不良17%が梱包を改善してもらっただけでゼロになったという事実です。「管理が雑」は文化であって、能力の問題ではありません。だからこそ、期待するのではなく具体的に要求する。それでちゃんと変わります。
話は二転三転する。それでも粘り強く交渉する
複数の中国メーカーとやりとりして強く感じたのが、「話が簡単に変わる」ということです。
- この商品を発注したいと言ったら「もうありません」→ しばらくして「やっぱりあります」
- 部品だけ発注したいとお願いしたら「部品だけはダメです」→ もう一度お願いしたら「やっぱりOKです」
- 仕入れようとした商品が、突然「生産終了しました」
こんなことが普通に起こります。
つまり、仕入れの可否・価格・配送などについて、最初の条件と後の条件が変わることがあるということです。だからこそ、次のような対応が大切になります。
- 「ない」と言われても、そのまま引き下がらず、もう一度確認してもらう
- 決まった条件は、必ず書面(メールやチャット)で残す
- 最初に提示された条件が厳しくても、粘り強く交渉する
一度断られたからといって、それが最終回答とは限りません。ここで諦めるかどうかで、仕入れられる商品の幅や条件がかなり変わってきます。
相手のメリットを提示する
条件交渉では「はっきり伝える」ことが大事ですが、そこに相手側のメリットを添えられると、通りやすさが格段に変わります。
単に「値引きしてください」だけでは、相手も動きにくい。そこで、次のようなことを伝えて「あなたと付き合うメリットがありますよ」と示すわけです。
- 今後長期的に取引したいと考えていること
- 年間の発注計画
- 事業をどう拡大していくつもりか
メーカー側から見ても、単発の発注で終わる相手より、継続して発注してくれる相手、ビジネスを伸ばしていく姿勢が見える相手のほうが、付き合っておく価値を感じてくれます。
実際にあったケース:MOQ5,000個を500個にしてもらった話
僕も、急に「生産終了します」と言われたことがあります。
しかも、再開の条件として提示されたのは「四半期でMOQ 5,000個」「30%の値上げ」。立ち上げ期の事業にとって、どちらも受けられる条件ではありませんでした。
そこで、こちらの発注計画と事業計画を具体的に伝えて、「今の規模は小さくても、継続的に発注を伸ばしていける」ということを示しながら交渉しました。
- MOQ:四半期5,000個 → 500個(10分の1)
- 値上げ幅:30% → 25%
- 生産終了 → 再開
値上げ自体は受け入れています。ゼロ回答を狙うのが交渉ではなく、「取引が成立する着地点」まで持っていくのが交渉だと考えているからです。
MOQが10分の1になったことで、こちらは在庫リスクとキャッシュフローを守れました。相手は継続して発注する顧客を確保できた。お互いに理由のある着地だったと思っています。
「今のロット」ではなく「これからの取引全体」で見てもらう。これが交渉のポイントです。
進捗や情報を共有する
商品を販売する際、特に立ち上げ時期や新商品のタイミングでは、販売準備の状況や売れ行きをメーカーと共有していくことをおすすめします。
たとえば、こんな内容です。
- 「LPが完成しました」とURLを見せる
- 「今こんなに売れていて、人気商品になっています」と実績を伝える
こうした共有を続けることで、メーカーとの関係性ができていきます。相手も「この会社を応援したい」という気持ちになってくれるものです。
やりとりの回数が増えれば、お互いの認識のズレも減りますし、何かトラブルがあったときにスムーズに対応してもらえるようにもなります。
長期的に取引していくうえでは、お互いの信頼関係と風通しの良さが効いてきます。
まとめ:遠慮せず、伝え続けること
中国メーカーとの取引で押さえておきたい5つのポイントを、あらためて整理します。
- 要望ははっきり伝える/察してもらうことは期待しない。交渉の余地があるのが前提
- 日本と同じ商品管理を期待しない/梱包・配送・検品は文化が違う。前提にして対策する
- 話は二転三転する/一度の「NO」で諦めない。条件は必ず書面で残す
- 相手のメリットを提示する/発注計画や事業計画を示して、長期的な価値を伝える
- 進捗や情報を共有する/やりとりの積み重ねが信頼関係になる
共通しているのは、遠慮せずコミュニケーションを取り続けることです。
不良率17%がゼロになったのも、MOQが10分の1になったのも、特別な交渉術を使ったわけではありません。困っていることを具体的に伝えて、こちらの事情と要望、計画を示しただけです。
文化も商習慣も違う相手なので、日本の感覚のままだと戸惑うことは多いです。でも、伝えるべきことを伝えて、粘り強くやりとりしていけば、良い条件で長く付き合えるパートナーになってくれます。
ちなみに僕は、こうして仕入れた商品をShopifyで自社ストアを立ち上げて販売しています。仕入れの交渉もストアの構築も、最初は分からないことだらけでしたが、ひとつずつ確認しながら進めれば形になります。
これから中国メーカーとの取引を始める方の参考になれば嬉しいです。

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